手がしびれるという疾患で、首からの原因と思われていたものが、
実は手首で神経が圧迫されて痺れがでている場合があります。
この疾患の名前を「手根管症候群」といいます。
手根管症候群のような神経が圧迫されて起こる疾患のことを
「絞扼性神経障害(こうやくせいしんけいしょうがい)」といいます。
手根管とは、手首の手のひら側にあり、指を曲げる9本の筋肉・腱と
正中神経が通っているところです。
この部位が、圧迫されることにより、
親指、人さし指、中指の正中神経支配の部位に
しびれや痛みが出現、正中神経領域の知覚異常、
母指球筋(親指の付け根にあるふくらんでいる筋肉)
の萎縮を認めます。
中年以降の女性に発症する場合が多く、
時に両側性に見られます。
また、周産期の女性の方はホルモンバランスが
原因となったりして、手根管症候群になることがあります。
診断は、手根管を叩くと正中神経領域に
疼痛・しびれが誘発される事や、
手首を手の平側に曲げ、その位置を約2分間維持すると、
しびれが増強する事等により容易です。
治療は、手根管部を圧迫しないような装具を作成し、装着してもらいます。
当初は夜間、就寝中だけ装着してもらっていますが、症状の改善の
みられない患者さんには、1日中装着してもらう場合もあります。
また、手根管の圧迫を取り除く様、運動療法も行っています。鍼治療も有効です。
手根管症候群は、まず手の使い過ぎが原因で出てくることがほとんどなので、
固定療法で手を休めることで大部分改善します。
できるだけ早い段階で治療を開始することによって、回復も早くなります。